大腸がんは食事で防げますか

📖 出典について

この記事は、国立がん研究センター、厚生労働省、イギリスの公的医療サービス NHS(National Health Service) が公開している情報をもとに、管理栄養士である筆者が要約し、解説を加えたものです。内容は公開時点のものであり、最新の情報は各公式サイトをご確認ください。本記事は情報提供を目的とし、診断や治療については医療機関にご相談ください。書いている人についてはこちら。

Hi there,

今年、大腸がん検診を受けましたか。

大腸がん検診で「要精密検査」になっている方にお会いすることが、増えたような気がします。

珍しいことではありません。

管理栄養士が書くので食べ物の話を期待されるかと思うのですが、今日は検査の話をさせてください。

食事と大腸、内視鏡検査と便潜血検査のキットを思い浮かべている女性のイラスト

女性がいちばん多く亡くなっているがん

国立がん研究センターのがん統計では、大腸がんは日本でいちばん多く診断されているがんとなっています。

年間で15万人以上が診断され、5万人以上が亡くなっています。

そして女性の場合、がんで亡くなる原因の1位が大腸がんです(2024年)。

女性のがんというと別のものを思い浮かべる方が多いかもしれませんが、亡くなる方がいちばん多いのは大腸がんなんですね。

数字だけ見ると不安になりますが、大腸がんは早く見つかったときの成績がとてもよいがんです。その話は最後に書きます。

赤いお肉は控えたほうがいいのか

「加工肉に発がん性がある」という話、聞いたことがありますよね。

2015年に、世界保健機関(WHO)の専門組織が加工肉を発がん性のある分類に入れた、という発表がありました。

これを受けて、国立がん研究センターが日本人に向けた見解を出しています。

国立がん研究センターより大腸がんの発生に関して、日本人の平均的な摂取の範囲であれば赤肉や加工肉がリスクに与える影響は無いか、あっても、小さいと言えます。今回の評価を受けて極端に量を制限する必要性はないと言えるでしょう。

日本人が食べている量は、1日あたり63グラム。赤肉が50グラム、加工肉が13グラムとのことです。

食べる量に比例して増えるわけではない

では減らせば減らすほど安全なのかというと、そうでもないんですね。

同じページに、日本人を対象にした調査の結果が載っています。

多目的コホート研究より女性では毎日赤肉を80グラム(調理前の重量。調理後は20%程度重量が減少する)以上食べるグループで結腸がんのリスクが高く、それ以下の摂取量ではリスク上昇はみられていません。

じわじわ増えていくのではなく、線があるということです。

男性については、赤肉では特に関連はみられなかったとのこと。加工肉にいたっては、男女とも関連がみられていません。

80グラムというのは、調理前の重さで、とんかつ用のロース肉がおよそ1枚分。薄切り肉なら3〜4枚くらいです。

これを毎日、というのが線なんですね。日本人女性の平均は50グラムですから、たいていの方はその手前にいます。

国の予防法に、お肉の項目はない

国立がん研究センターの科学的根拠に基づく日本人のためのがん予防法には、赤肉や加工肉を減らすという項目そのものが入っていません。

挙げられている5つの健康習慣は、たばこ、お酒、食生活、身体活動、体重。そして食生活の中身は、減塩、野菜と果物、熱いものを冷ます、の3つだけです。

厚生労働省のがん予防のページも、この5つをそのまま紹介しています。国としての見解がそろっているんですね。

この5つをすべて実践している人は、男性で43%、女性で37%がんになるリスクが低かった、と述べられています。

ただ、逃げずに書いておきます。

がん情報サービスの大腸がんの予防・検診のページには、女性に限っては、加工肉や赤肉でリスクが高まる可能性がある、と書かれています。喫煙、飲酒、肥満も危険性を高めるとのことです。

一方で運動については、大腸がんの予防に効果的であることがほぼ確実、とはっきり書かれていました。

毎日80グラムを超えていないのなら、お肉を減らすことを考えるより、野菜と体重と運動のほうが手がかりが多いような気がします。

日本は40歳から、イギリスは50歳から

大腸がん検診は、40歳から1年に1度受けることになっています。

便潜血検査といって、2日分の便を採って、混じった血液を調べる検査です。

ここでイギリスの話をさせてください。NHSの Bowel cancer screening という記事を見てみたいと思います。

イギリスでは、50歳から74歳の人に2年に1回の検診が提供されています。かかりつけのGPに登録していれば、検査キットが自宅に郵送されてくるとのことです。採るのは少量の便で、キットに入れて送り返すだけなんですね。

並べてみます。

日本のほうが10年早く始まって、しかも毎年受けられます。制度としては、むしろ手厚いんですね。

ただ、日本は自分から動かないと始まりません。

早く見つかれば、9割以上

国立がん研究センターが2025年11月に、がんの5年生存率を公表しています。

大腸がんが「限局」、つまりほかの場所に広がっていない段階で見つかった場合、5年生存率は92.3%。

遠くに転移してから見つかった場合は、16.8%と述べられています。

早期発見して助かった、という話を聞いたこともあります。

だからひとつだけ、お願いがあります。

便潜血検査は、1日分でも陽性だったら精密検査を受けてくださいね。

大腸がんは毎日出血しているわけではないので、2日採ったうちの1日分だけが陽性、ということが起こります。がん情報サービスも、「次回の検診まで待とう」「症状がないから大丈夫」などと自己判断しないように、と述べています。

はじめに書いた「要精密検査」の方にお会いする、というのはここの話です。

私も、去年から受けています。

早期発見が大事なので、検査だけはおすすめしたいです。

Love

お住まいの市区町村のがん検診は、ウェブサイトで調べられます。職場の健診に含まれていることもあるので、一度確認してみてくださいね。